シ ネ マ ト グ ラ フ c i n e m a t o g r a p h



タルホが心惹かれたのは、映画作品ではなく、映写機などの機械や部品が醸し出す雰囲気でした。時代のアトモスフィアも感じ取ることができたら。

ムーヴィアーベント

パテェの赤い雄鶏を求めて

人間人形ラリー・シーモン

タルホ映画館

瞞着の芸術




BACK













































ムーヴィアーベント

──玄関口に一歩踏み入れると、「ムーヴィアーベント」の雰囲気が織り出されていることを知った。つまり化学と機械学とがいっしょになった、しかし自動車の場合とは全く別なハイカラーな匂いが鼻先を打ったからだ。(『パテェの赤い雄鶏を求めて』)



「部分」にこだわったタルホ・シネマ世界を再構成してみたい。
  


映写機(プロジェクター)
送り孔(パーフォレーション)
活動写真
銀臭き人々(映画俳優)
香気
臭素加里
白幕
線片画
タイトルの横文字
竹叩き(小銃の擬音)
炭素アーク灯
二十世紀的憂愁
二十世紀の感覚
二十世紀の臭覚
乳白色の生フィルム
鼠食い
フィルム(アセテート・)
フィルム接着剤
ボール紙製の映画館
ミュートスコープ
ムーヴィアーベント



BACK












































パテェの赤い雄鶏を求めて

──連続したコマの中に、黒地に向い合って、左右二羽の赤いオンドリが読み取られる時、自分にはまだ意識されていないA感覚理論が頭を擡げていたようです。(『単3乾電池』)



読者たちからのたび重なる情報提供にもかかわらず、生前ついに再会できなかっ た「パテェの二羽の雄鶏マーク」。タルホのパテェへの執心は、ほとんどこのマークに象徴されているともいえます。映画史の側面からもパテェを考えてみたい。


イタラ会社
パテェ会社のマークの赤いオンドリ
パテェカラー
横田商会



BACK













































人間人形ラリー・シーモン

──「君の書くものにはおつりきな所があって、面白いよ。全くあの作をラリー・シモンにやらせたいものだね」──谷崎潤一郎(『タルホ=コスモロジー』)



映画俳優の中で唯一人お気に入りだったLarry Semon。当時、映画評論家でさえ タルホほど数多くのシーモン評を書いた人はいなかったのではないか。映画史の中に埋もれてしまったシーモンを発掘したい。


シーモン(ラリー・)
ラングドン(ハリー・)



BACK


















































タルホ映画館

──毎日のように港の都会へ通い青鳥(ブルーバード)映画と、細目のハヴァナ葉巻 と、終電車の夜風に縺れて微酔の頬を打つネクタイに陶酔していた「六月の夜の都会の季節」(『弥勒』)



「35mmフィルムの魅力は、結局、横文字が連なったタイトルの部分ですらなくて、実に乳白色のナマフィルムの上にあると思っている」と語るタルホですが、活動写真(映画作品)もかなり登場します。もちろんここに挙げたような数ではありません。強力ラインナップで迫る「タルホ映画館」の椅子に座ってみたい。


朝日館
『カリガリ博士』
『空中王』
スコット(B・)(英国工兵大尉、分光写真)
スープア氏戦争フィルム(日露戦争のフィルム)
『南山激戦』
『蛤蟆塘(ハモタン)会戦』
表現派の舞台装置
青鳥(ブルーバード)映画
『Arab's tent』



BACK
















































瞞着の芸術

──活動写真はナマな写真の継ぎ合わせで、どこまでも不離密着に置かれているから、そこに芸術など期待されよう筈がない。(『男性における道徳』)



映画を「瞞着の芸術」だとするタルホの否定的見解にも触れなくてはならないでしょう。


映画館
演劇
絵画
こじつけ美学
弱者の芸術(漫画・TV・映画)
女優
スタニスラフスキー
バグダッドの窓枠
物量の貧困
瞞着の芸術
役者馬鹿



BACK