1970(昭和45)年 69歳



1月 ★「宇治桃山はわたしの里」<文学界>[9-99]

1月 ★「天狗考」<日本きゃらばん>[→「鼻高天狗はニセ天狗」10-246]

1月 ★「裸形執筆」<別冊文藝春秋>[12-423]

1月 ★(対談:地上とは思い出ならずや)<現代詩手帖>[全集不掲載]
☆加藤郁乎との対談

1月 ★「『新青年』発表作品への回顧」<新青年傑作選月報II>[12-424]

1月 ★「一女性からの書簡」<雷鳥>[全集不掲載]
☆『タルホ事典』(潮出版社、昭和50年10月)に収録された。初出が「雷鳥」(1966年1月)とあるのは、森谷均の死(1969年3月29日)について書かれた内容から、誤りだろう。

1月14日
★年が明けて十四日、栃木県マシコ焼の里からやはり十九歳の青年がやってきた。(「一年我見」『全集12』p.433)
☆「タルホ的万国博感」(『全集11』p.275)にも、1月14日にこの青年がやってきたとある。

2月 ★「廻るものの滑稽」<波、1・2月合併号>[10-104]

2月 ★『稲垣足穂大全(IV)』《現代思潮社》
収録作品(22編)「美しき穉き婦人に始まる」「菟」「蜩」「北落師門」「夢野」「父と子」「白昼見」「愚かなる母の記」「地球」「弥勒」「底なしの寝床」「木魚庵始末書」「方南の人」「世界の巌」「死の館にて」「有楽町の思想」「夏至物語」「雪ヶ谷日記」「戸塚抄」「姦淫への同情」「悪魔の魅力」「随筆ヰタ・マキニカリス」

3月 ★『ライト兄弟に始まる』《徳間書店》
収録作品(5編)「ライト兄弟に始まる」「附録1:武石道之介航海日誌」「附録2:武石浩玻在米日記」「附録3:武石家訪問記(松村実)」
      「解題」[13-430]
☆タルホ自身による「解題」は、『全集』13巻に収録。

3月 ★『新青年傑作選(2)』《立風書房》
収録作品(1編)「瓶詰奇談」

3月 ★「酒につままれた話」<別冊文藝春秋>[11-272]

4月1日
★これは画でない。即席のオブジェである。去年のエープリルフールの朝、トイレの中に落ちていたものと、その入口に転っていたものと、即ち二本のトイレットペーパーの巻軸を十字形に組合わしたのである。「王と王妃」と名付けたわけは、ピカビアの初期の画に、航海灯のような円筒が沢山縦横に入れまじっているのがあって縦の円筒は空間で「王」を、横の円筒は時間で「王妃」を表わしているという解説が付いていたからである。(「タルホ・ファンタジー自註」『全集11』p.333)
☆「タルホ・ファンタジー自註」は昭和46年10月に発表されたものなので、「去年」とはこの年のことであろう。

4月 ★「真鍮の砲弾」<海>[10-514]

4月 ★「生命の深淵」<潮、別冊春季号>[→「東洋の幻想」9-274]

4月 ★「パテエの赤い雄鶏を求めて」<文学界>[10-141]

4月 ★「僕のオードーヴル」<山本美智代『銀鍍』、前衛社>[1-94]

4月 ★『ブラック・ユーモア選集(5)日本篇・短篇集』《早川書房》
収録作品(1編)「WC」

4月 ★『増補改訂・少年愛の美学』《徳間書店》
収録作品(2編)「少年愛の美学」「秋夜長物語」
☆「増補改訂・少年愛の美学」は、この後さらに加筆訂正され、その原稿が『全集4』に最終稿として収録された。

4月 ★(放送:この人に聞く・稲垣足穂の世界)<NHK、4月21日>[全集不掲載]
☆瀬戸内晴美との対談。『パテェの赤い雄鶏を求めて』(新潮社、昭和47年)に、「瀬戸内晴美さんとの問答」と題して収録。

5月 ★「読書界を裏返した男」<『澁澤龍彦集成III』箱帯、桃源社>[11-278]

5月 ★「タルホ的万国博感」<東京新聞夕刊、5月4日>[11-274]
☆末尾に紹介されている萩原朔太郎の詩の一節は、『青猫』収録の「古風な博覧会」からだろう。うろ覚えの引用は相当あやしいものになっている。

5月 ★「南方学の密教的な貌」<日本読書新聞、5月25日>[3-391]

5月 ★「空界へのいざない」<太陽>[6-447]

5月 ★「山風蠱の頃」<本の手帖>[11-268]

6月 ★(対談:エロトピア)<週刊文春>
☆『別冊新評・稲垣足穂の世界』(新評社、昭和52年)に、野坂昭如とのキスシーンの写真があり、昭和45年5月とあるが、同じ日の対談写真だと思われる『新文芸読本・稲垣足穂』(河出書房新社、平成5年、p.109)では、それが昭和45年6月となっている。

6月 ★『稲垣足穂大全(V)』《現代思潮社》
収録作品(15編)「東京遁走曲」「わが庵は都のたつみ―」「雙ヶ丘」「宇治桃山はわたしの里」「雪融け」「蘆の都」「日本の天上界」「東洋の幻想」「シネマトグラフ」「僕の触背美学」「美のはかなさ」「天狗考」「ヒコーキ野郎たち」「武石道之介航海日誌」「武石浩玻在米日記」

6月 ★『絵本・逆流のエロス』《現代ブック社》
収録作品(3編)「一千一秒物語――月に関する抄」「A感覚とV感覚」「Prostata〜Rectum機械学」

6月 ★『日本の文学34、内田百閨E牧野信一・稲垣足穂』《中央公論社》
収録作品(7編)「フェヴァリット」「地球」「白昼見」「弥勒」「誘われ行きし夜」「山ン本五郎左衛門只今退散仕る」「A感覚とV感覚」

7月 ★「足穂映画論」<季刊フィルム>[→「シネマトグラフ」9-316]

7月 ★「銀河鉄道頌」<ユリイカ、総特集宮沢賢治>[11-279]
☆文中に「岩手県の日本海に面した岸を……」とあるのは、「日本海」でなく「太平洋」だろう。

7月 ★「王と王妃」<話の特集>[12-428]

7月 ★「目鼻が付いた天体たち」<COM>[12-426]

7月 ★『機械学宣言・地を匍う飛行機と飛行する蒸気機関車』《仮面社》
収録作品(2編)(中村宏との対談:「機械学・対話篇」)「機械学と物理学」

8月 ★「タルホ=コスモロジー(1)」<文学界>[2-359, 11-473]

8月 ★「神への漸近線上」<読売新聞、8月11日>[11-282]

9月初め
★去年(昭四五)の九月はじめ、岡崎の京都会館でひらかれた、第十二回国際低温物理学会で、アメリカのD=パインズ教授は、パルサー(脈動電波星)の内部は、超流動状態の中性子で満たされていると発表している。(「中性子星の話」『全集11』p.297)
☆おそらく、この頃の新聞記事を見たのであろう。

9月 ★「民間飛行一番機はこうして飛んだ」<別冊新評>[全集不掲載]
☆未見。同誌1971年1月号掲載の伊藤音次郎による同名の記事のことでは?

9月 ★(談話:男同士には「五つの得」がある)<アサヒ芸能、9月10日号>[全集不掲載]

9月 ★『稲垣足穂作品集』《新潮社》
収録作品(29編)「チョコレット」「星を造る人」「黄漠奇聞」「星を売る店」「一千一秒物語」「セピア色の村」「煌めける城」「天体嗜好症」「夜の好きな王様の話」「第三半球物語」「きらきら草紙」「死の館にて」「弥勒」「悪魔の魅力」「彼等(THEY)」「随筆ヰタ・マキニカリス」「紫の宮たちの墓所」「日本の天上界」「澄江堂河童談義」「イカルス」「A感覚とV感覚」「僕の触背美学」「古典物語」「美のはかなさ」「僕の弥勒浄土」「僕のユリーカ=v「山ン本五郎左衛門只今退散仕る」「Prostata〜Rectum機械学」「少年愛の美学」。
☆函帯に以下の一文がある。
 「月夜の晩に/スフィンクスの/耳の中から/蝙蝠が一匹/飛んで出た/とさ」[13-431]
☆『全集』の解題には、「昭和四十五年一月」とあるが、「九月」の間違い。

9月 ★『稲垣足穂大全VI』《現代思潮社》
収録作品(79編)「赤い雄鶏」「水晶物語」「矢車菊」「電気の敵」「薄い街」「記憶」「お化けに近づく人」「夜の好きな王の話」「ココァ山の話」「青い箱と紅い骸骨」「放熱器」「北極光」「わたしの耽美主義」「第三半球物語」「リビアの月夜」「月光密輸入」「出発」「ラリー・シーモンの回想」「パンタレイの酒場」「白い二グロからの手紙」「人工戦争」「宝石を見詰める女」「タッチとダッシュ」「オルドーヴル」「イカルス」「ちんば靴」「奇妙な区廊に就いて」「夏至近く」「犬の館」「カールと白い電燈」「鶏泥棒」「海の彼方」「月光騎手」「星澄む郷」「煌ける城」「セピア色の村」「或る小路の話」「七話集」「チョコレット」「黄漠奇聞」「フェヒナーの地球意識」「純粋人と不純粋人」「飛行機の墓地」「工場の星」「兜率上生」「須弥山さわぎ」「四次元談義」「僕の弥勒浄土」「仏教の将来」「朝日山の山桃の木に想う」「吊籃に夢む」「ラジエーター」「新感覚派前後」「唯美主義の思い出」「香なき薔薇」「僕の蕪村手帳」「海と『存在』」「酒壜天国」「痔の記憶」「オブジェ・モビール」「おくれわらび」「永劫流転」「肉体とその自由」「オブジェの魅力」「聖道門への憧れ」「新歳時記の物理学」「『一千一秒物語』の倫理」「佐藤春夫を送る辞」「病院の料理番人の文学」「浪花シリーズ」「額縁だけの話」「滝野川南谷端」「田端時代の室生犀星」「本ぎらい」「卓上キネオラマ」「アド・キルー『映画とシュルレアリスム』を読んで」「世界のはて」「フウテン族の曲率」「アフロディテ=ウラニア」

9月 ★「タルホ=コスモロジー(2)」<文学界>[2-359, 11-473]

9月 ★「E氏との一夕」<りびどう>[3-346]
☆『足穂拾遺物語』(高橋信行編、青土社、2008年)には、「E氏との一夕」掲載の「りびどう」は、昭和45年9月発行とされている。


★私はこの秋、ペンギンブックスの“Japanese writing Today”の中に私の「イカルス」を貰うことになったからとの葉書を、彼から受取って、そのことを痛切に感じた。こんな字を書くようでは文学は出来ない筈だと。(「三島ぼし隕つ」『全集11』p.304)
☆「彼」とは三島由紀夫。
☆「三島ぼし隕つ」は昭和46年2月発表なので、「この秋」とは、この年のことであろう。
☆この“Japanese writing Today”は、2年後の1972(昭和47)年12月に“New Writing in Japan”として刊行された。

10月2日
★由紀夫さんは今年の六月の初め、「日本の文学」(第76回配本)に付けられたパンフレットの中で、澁澤龍彦を相手に、私について、「洗濯屋から届いたばかりの白いWカラーを付けた少年」だの、「青い灯の点った洋館に住んでいる」だの、彼は男性の秘密をあばいてそれを売ってしまった」だの、まことに神経が行届いた好意を示し、しかも私を以て「逢いたくない人」としていたが、早くも十月二日には人を介して、「イナガキ文学では初期のヒコーキと取組む部分以外は、自分は認めない」と云ってよこした。(「三島ぼし隕つ」『全集11』p.304)

10月 ★「タルホ=コスモロジー(3)」<文学界>[2-359, 11-473]

10月 ★「稲垣足穂作品集について」<新刊ニュース、10月15日号(no.204)>[12-430]
☆9月に刊行された新潮社の『稲垣足穂作品集』について述べているのだが、タルホ自身は作品の選定に関わっていないようである。この本のどこにも「編者」の名前が記されていない。この作品集の出版は、前年に日本文学大賞(新潮社)を受賞したことと無関係ではないであろう。
☆タルホは「この二十九編の中で、私が特に読んで貰いたいのは、第十四番目の「悪魔の魅力」である」と言っている。

11月 ★「Curtiss! Curtiss!」<科学朝日>[6-449]

11月 ★「お化けのムーン」<話の特集>[1-245]

11月 ★「タルホ=コスモロジー(4)」<文学界>[2-359, 11-473]

12月 ★「ギリシア的男性愛への憧れ」<朝日ジャーナル、12月27日号>[全集不掲載]
☆11月25日の三島由紀夫の死についての言及があるが、内容は女性読者からの手紙(12月3日付)をそのまま転載したもの。そのためか『全集』には収録されていない。ただし、文末にタルホ自身による「注」がある。
☆『パテェの赤い雄鶏を求めて』(新潮社、昭和47年3月)に収録。

12月 ★「一年我見」<毎日新聞夕刊、12月28日>[12-433]

12月 ★「国夫平木氏を推す」<平木国夫著『暁の空にはばたく』序文、読売新聞社>[12-431]
☆「昭和四十五年十一月 伏見桃山養斎」の署名。

12月 ★「タルホ=コスモロジー(5)」<文学界>[2-359, 11-473]


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